「戦略プロフェッショナル」(三枝匡(著)、日経ビジネス文庫)読了
とりあえず、前置き的な感想ですが、
最近巷で盛り上がっている(?)ハウツー本とは全く違う本書、一番印象的だったのは、「実例の多さ」でした。
※以下ネタバレというほどではないかもしれませんが、中身に触れますので、これから読んで楽しみたい方は、その点ご理解の上で読み進めてください。
実例から学ぶ
実際にあとがきにもあるのですが、この本は、実際に作者の体験をベースになっています。
もちろん、本にするうえで、編集・(少なからず)脚色されている部分もあるかもしれませんが、コンサルさんが表面的に書いた本なんかよりも、実践ベースなのでかなり、虚偽なく疑似的に学習できたかなと思います。
しかしながら、この本の主人公は、会社員で、外部から会社を立て直すために入った、会社でいうと管理職という設定でしたので、僕の様な起業家・経営者よりも、そういた会社の(結構上位の)管理職にお勧めかなというのが一つ目の感想です。
(それでも、とても具体的かつ細かい「状況」や「数値」、「組織環境」や「部下」が設定されているので、前述のように、実践感覚にちかいワークショップ感覚でも楽しめます。
それでも集中「絞り」
と、偉そうに、起業家・経営者よりも管理職とか申し上げましたが、興味深い部分、学べる個所も多かったことは事実です。
その中でも、最も印象に残ったのが「絞り」という言葉です。
金持ち兄さんも実はよく言うのが、この「絞り」と「集中」がとっても大事(結構多くの人がわかっているのに、意外とできないこと)ということです。
今回興味を引いた部分は以下、
『起業戦略は「絞り」の道具
本書p261~より抜粋
~略~、経営戦略の要諦は「絞り」と「集中」である。
もし、事業に絞りがなければ、組織のエネルギーを統一することはできない。多くの社員の方向性「ベクトル」は一致せず、動きの「モメンタム(勢い、惰力)」はタイミングがずれてしまい、だから互いに力を消しあってバラバラになる。
トップは社員に対いて「語り」が必要である。時には俳優のように語り掛け、訴えかけなければならない。しかし、事業に絞りがなければ、トップは簡潔な言葉で経営の目標を語ることはできない。
略
「絞り」とは、すなわち「捨てる」ことである。我々の経営資源には限りがるから、何もかもやることはできない。・・・』
本書p261~より抜粋
特に最後の赤字部分は、アイデアマンの(なんでもかんでも面白そうなものに興味をもってしまう)私には突き刺さる言葉です。(;^_^A
しっかり、絞り込み、集中することの大事さを改めて教えられました。
ある営業の話
この集中の話を聞くとよく思い出す話があります。
それが、金持ち兄さんの友人(今は大社長)の話です。
かなり簡潔にお話しします。
昔起業家X氏がいました。
彼は、αという商品を訪問販売しておりました。
ある日、人を雇います。
従業員には、αという商品の売り方を教えたので、従業員たちもしっかり稼いできました。
X氏は、今度は、αと一緒に、βも一緒売るととても儲かるのではないかと思いました。
実際、X氏が訪問販売をした際は、なかなかの手ごたえを感じました。
そこで、従業員にαとβをどっちも売ってくるように指示しました。
さて、ここまで、このあと皆さんはどう思いますか?
「売り上げが倍になる」
「バイトは言わずとも、β分少し上昇する」
という風に思うかもしれません。
しかし実際は、
売り上げ(受注)が急激に落ちた
のです。
終わりに
絞り込みや集中というのは、いわば原理原則に近いと私は考えています。
今回の本にしても、金持ち兄さんのお話にしても、しっかり自分の者にしていきたいと復習させていただきました。
読んだ方が、少しでも「集中」「絞り込み」の重要性を理解していただければ幸いです。
Ak1-Nakamura
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